MEDICAL COLUMN
医療コラム


高血圧の食事で大切なことは?減塩のコツと血圧を下げる食べ物
こんにちは。札幌市中央区の循環器内科「南円山みんなの内科ハートクリニック」院長の小浪佑太です。
「高血圧と言われたけど、食事で何に気をつければいいの?」「減塩って具体的にどうすればいいの?」「血圧を下げるのに良い食べ物はあるの?」など、こうした疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
高血圧の治療というと薬のイメージが強いかもしれませんが、日本高血圧学会が2025年に発表した最新ガイドライン(JSH2025)では、生活習慣の改善、なかでも食事の見直しが治療の基本として改めて強調されています。この記事では、ガイドラインや厚生労働省の情報をもとに、高血圧の方が知っておきたい食事のポイントを循環器専門医の立場からわかりやすく解説します。
なぜ食事が高血圧の治療に大切なのか
日本人の高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎです。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、食塩の過剰摂取が日本人の高血圧の主要な原因であると明記されています。
日本高血圧学会は、高血圧患者の減塩目標を1日6g未満と推奨しています。しかし、日本人の平均食塩摂取量は約10gといわれており、目標との間に大きな開きがあります。つまり、多くの方にとって「今の食事を少し見直す」ことが、血圧改善への第一歩になるのです。
最新ガイドラインでは、食事・運動・体重管理・節酒・禁煙などの生活習慣改善が薬物療法と並ぶ治療の柱として位置づけられています。薬を飲んでいる方でも、食事の改善を組み合わせることでより効果的に血圧をコントロールできることが分かっています。
まずは減塩から始めましょう
血圧を下げるうえで最も重要な食事の取り組みは、減塩です。塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、体内の塩分濃度を一定に保とうとして水分が溜まりやすくなります。その結果、血液量が増え、血管にかかる圧力が上がって血圧が上昇します。
減塩の目標
日本高血圧学会は、高血圧の方の食塩摂取量を1日6g未満にすることを推奨しています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満が目標量として示されています。
今日からできる減塩のコツ
いきなり完璧な減塩を目指す必要はありません。まずは「確実に減らせる工夫」から始めましょう。
調味料の使い方を変える
醤油やソースは料理に直接「かける」のではなく、小皿に出して「つける」ようにするだけで使用量が減ります。また、酢や柑橘類の酸味、しょうが・にんにく・大葉などの香味野菜、こしょうや唐辛子などの香辛料を活用すると、薄味でも満足感のある味付けが可能です。
汁物・めん類に注意する
ラーメンのスープを全部飲むと、それだけで6g近い食塩を摂取してしまいます。めん類の汁は残す、味噌汁は具を多くして汁の量を減らすといった工夫が効果的です。
加工食品・外食に気をつける
ハム、ソーセージ、漬物、インスタント食品などの加工食品には、見た目以上に食塩が含まれています。購入時に食品表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつけましょう。外食時も、丼物や定食の漬物を残す、ドレッシングは別添えにしてもらうなどの工夫ができます。
減塩食品を活用する
日本高血圧学会の減塩・栄養委員会では、減塩率20%以上の食品をまとめた「JSH減塩食品リスト」を公開しています。醤油、だし、味噌、ドレッシングなど幅広い食品が掲載されており、普段の調味料を減塩タイプに置き換えるだけでも効果が期待できます。
▶ 日本高血圧学会 減塩食品リストはこちら
減塩だけではない「DASH食」という考え方
高血圧の食事療法というと減塩が中心ですが、近年注目されているのが「DASH食(ダッシュ食)」です。DASHとは「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)」の略で、アメリカで研究・開発された食事法です。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにも掲載されており、臨床の現場でも活用されています。
DASH食のポイントは、単に塩分を減らすだけでなく、塩分の排出を助ける栄養素を積極的にとる「食品の組み合わせ」にあります。
積極的にとりたい栄養素と食品
カリウム
カリウムは、体内のナトリウムを腎臓から排出する働きがあり、血圧を下げる効果が期待できます。野菜、果物、いも類、豆類、海藻類に多く含まれています。ほうれん草、かぼちゃ、バナナ、アボカド、大豆製品などを意識してとるとよいでしょう。ただし、腎臓の機能が低下している方はカリウムの摂取に注意が必要なため、必ず主治医にご相談ください。
カルシウム
カルシウムには血圧を安定させる効果があります。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、カルシウムは牛乳や乳製品から摂取すると吸収率が高いと紹介されています。乳製品を選ぶ際は、低脂肪タイプを活用すると脂質の摂りすぎを防げます。小魚、大豆製品、小松菜などにもカルシウムが豊富に含まれています。
マグネシウム
マグネシウムには血管を拡張させ血圧を下げる作用があります。大豆製品、ナッツ類、海藻類、魚介類などに多く含まれています。
食物繊維
食物繊維には、余分なナトリウムやコレステロールの排出を促す働きがあります。野菜、果物、海藻類、きのこ類、全粒穀物、豆類に豊富です。
控えたい食品
肉類の脂身やバター、生クリームなどに多い飽和脂肪酸は、動脈硬化を進める原因になります。また、菓子パンやスナック菓子に含まれるトランス脂肪酸にも注意が必要です。代わりに、サバ・イワシ・サンマなどの青魚や大豆製品に含まれる不飽和脂肪酸を積極的に取り入れましょう。
日本人にはDASH食+減塩の組み合わせが効果的
日本人は食塩摂取量がもともと多い傾向があるため、DASH食の栄養バランスに減塩を組み合わせることで、より高い降圧効果が期待できます。野菜をたっぷりとり、魚や大豆製品を中心にした和食をベースに、塩分を控える工夫を加えていくのが日本人に合った取り組み方です。
血圧によい飲み物
食べ物だけでなく、飲み物の選び方も血圧管理に役立つことが報告されています。
牛乳
牛乳をはじめとする乳製品は、豊富なカルシウムを含んでおり、血圧を下げる可能性が報告されています。低脂肪タイプを選ぶと、脂質の摂りすぎを防ぎながらカルシウムを効率よく摂取できます。
緑茶
緑茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールには、血圧を下げる作用があると報告されています。日常的に飲みやすく、取り入れやすい飲み物です。
食塩無添加のトマトジュース
トマトに含まれるGABA(γ-アミノ酪酸)には血圧を下げる作用があるとされています。選ぶ際は、必ず食塩無添加のものを選びましょう。
最新ガイドライン(JSH2025)で注目される「ナトカリ比」とは
最新ガイドラインでは、減塩の新しい評価指標として「尿中ナトリウム/カリウム比(Na/K比)」の活用が提案されています。これまで減塩の評価はナトリウム(塩分)の摂取量だけで行われてきましたが、Na/K比を測定することで、塩分とカリウムの「バランス」を客観的に評価できるようになります。
「減塩しているつもりでも実際は塩分が多かった」「野菜や果物が足りていなかった」といったことが見える化できるため、食事改善のモチベーション維持にも役立ちます。つまり、「塩分を減らす」だけでなく「カリウムを増やす」という両面からのアプローチが、今後の高血圧管理ではより重視されていくことになります。
飲酒と高血圧の関係
習慣的にアルコール摂取量が増えると、血圧が上昇する傾向があることが分かっています。高血圧の予防・改善のためには、節酒が重要です。
目安として、男性では1日あたり日本酒1合程度(ビール中瓶1本、ワイングラス2杯程度)、女性はその約半分が適量とされています。また、週に1日以上の休肝日を設けることも大切です。
適正体重の維持も血圧改善に有効
肥満は高血圧の大きなリスク因子です。体重が1kg減少すると、収縮期血圧(上の血圧)がおよそ1mmHg低下するというデータがあります。BMI 25未満を目安に、食べすぎを防ぎ、適正体重を維持することが血圧改善につながります。極端な食事制限ではなく、腹八分を心がけることが基本です。
食事改善を続けるためのヒント
食事の改善は、1日だけ頑張って終わりではなく、無理なく続けることが大切です。日本高血圧学会も「継続」の重要性を繰り返し強調しています。
まずはひとつだけ変えてみることから始めましょう。「味噌汁を1日1杯にする」「醤油をつけるスタイルにする」「ラーメンの汁を残す」。小さな変化でも、毎日続ければ確実に塩分摂取量は減っていきます。減塩は慣れるまで2〜3週間ほどかかりますが、慣れてしまえばそれが日常の味になります。
当院での高血圧の食事指導
南円山みんなの内科ハートクリニックでは、高血圧の治療において食事の改善を重要な柱と位置づけています。当院には管理栄養士が在籍しており、患者様一人ひとりの食生活や嗜好に合わせた具体的な減塩指導・栄養指導を行っています。
また、当院では保険適用の高血圧治療補助アプリ「CureApp HT」を導入しています。スマートフォンを使って約6か月間、食事・運動・睡眠などの生活習慣改善に段階的に取り組み、日々の血圧データを医師と共有しながら治療を進めるプログラムです。「薬だけに頼らない治療を考えたい」「減塩を続けるのが難しい」と感じている方に適した治療法です。
▶ CureApp HTの詳細はこちら
当院へのアクセス
南円山みんなの内科ハートクリニックは、札幌市中央区に位置し、公共交通機関でもお車でも通いやすいアクセス環境です。
公共交通機関をご利用の方
北海道中央バス「旭山公園通18丁目」バス停すぐ
札幌市電「西線9条旭山公園通」駅より徒歩約5分
札幌市営地下鉄 東西線「西18丁目」駅より徒歩約14分
札幌市営地下鉄 東西線「円山公園」駅より徒歩約20分
お車でお越しの方
クリニック専用駐車場(18台分)をご用意しています。札幌市中央区だけでなく、豊平区・西区・南区など札幌市全域から多くの患者さまにご来院いただいています。
高血圧の食事管理でお悩みの方へ
高血圧の食事療法は、「あれもダメ、これもダメ」という制限ではありません。減塩を基本に、野菜・果物・魚・大豆製品などを増やし、食品の組み合わせを工夫することで、おいしく食べながら血圧を改善することができます。
大切なのは、自分に合ったやり方で、無理なく続けること。「何から始めればいいかわからない」「減塩しているつもりだけど血圧が下がらない」という方は、ぜひ当院にご相談ください。循環器専門医と管理栄養士が、あなたの食生活に合わせた具体的なアドバイスをいたします。
南円山みんなの内科ハートクリニック 院長 小浪 佑太
資格
認定内科医
総合内科専門医
循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
ACLS-EP; Advanced Cardiovascular Life Support for Experienced Provider
所属学会
日本内科学会
日本循環器学会
日本心血管インターベンション治療学会
日本心臓リハビリテーション学会