健康診断で1つでも 「異常」を指摘された方へ

「症状がないから大丈夫」は危険なサインです。

「健康診断で要再検査って言われたけど、異常を感じない」
「忙しくて病院に行く時間がない」
「ちょっと数値が高かっただけだから、放っておいても平気だろう」
健康診断の結果が気になってはいるものの、そのままにしている方は少なくありません。
その「まだ症状がないから」という油断が、将来の大きな後悔に繋がることもあります。
異常値が出たからといって、必ず病気というわけではありません。
しかし、「異常」という結果は、あなたの身体からの大切なサインです。

今は元気でも、「ある日突然」大きな病気として現れることがあります。
たとえば──

  • 高血圧も糖尿病も、最初は「無症状」で進行する

  • 動脈硬化は、気づかないうちに心臓や脳にダメージを与える

  • 肝臓や腎臓の異常は、自覚症状がないまま悪化することがある

健診結果の見方と適切な対処について

健康診断の結果は、以下のような5パターンに分かれます。特に「要経過観察・要再検査」「要精密検査」「要治療」と指摘された方は、そのサインを見逃さないでください。たとえ今は症状がなくても、体の中では病気が静かに進行しているかもしれません。

異常なし

検査結果や診察で特に問題は見られません。定期的な健康管理を続けながら様子をみましょう。なお、気になる症状がある場合は、数値に関係なく医療機関へご相談ください。

要経過観察・要再検査

明らかな病気ではないものの、基準値から外れている項目がありました。すぐに治療が必要というわけではありませんが、生活習慣の見直しや、数ヶ月〜1年後の再検査が推奨されます。当院では、生活改善に向けた具体的なアドバイスも行っていますので、お気軽にご相談ください。

要精密検査

より詳しい検査が必要な状態です。健康診断だけでは判断が難しい病気の可能性があるため、専門的な検査が必要になります。ただし、必ずしも病気が見つかるわけではなく、問題なしという結果になるケースもあります。深刻に捉えすぎず、しかしなるべく早めに検査を受けましょう。

要治療

すでに何らかの疾患が疑われ、治療が必要と考えられる状態です。できるだけ早く医療機関を受診し、適切な診断と治療を開始することが大切です。

健康診断の検査項目と病気のリスク

血圧の異常(高血圧)

疑われる病気
高血圧症
主な症状
ほとんどなし(頭痛、肩こりなど)
どんな状態?
血圧が140/90mmHg以上、または家庭血圧で135/85mmHg以上場合は、高血圧症と診断されます。
なぜ精密検査が必要?
高血圧症は初期段階ではほとんど自覚症状がなく、健康診断での数値が重要な発見のきっかけになります。血圧が高い状態が続くと、心臓や血管に慢性的な負担がかかり、動脈硬化、心肥大、脳出血、脳梗塞といった重篤な疾患につながる可能性が高まります。特に脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤といった重篤な疾患に発展するリスクが、症症状のないまま静かに進行するケースも少なくありません。また、医療機関での緊張によって一時的に血圧が上がる「白衣高血圧」の可能性もあるため、家庭での血圧測定(家庭血圧)も診断の参考になります。

心電図の異常

疑われる病気
不整脈 心筋梗塞 心筋症 心肥大 など
主な症状
無症状のことも多いが、動悸、息切れ、胸の痛み、めまいなどを伴うことも
どんな状態?
心電図検査は、心臓が発する電気信号の波形を記録し、リズムや拍動の異常を調べる検査です。この波形が基準と異なる場合、心臓の動きや構造に何らかの異常がある可能性があり、「心電図異常」として指摘されます。
なぜ精密検査が必要?
心電図異常は、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心筋症などの心疾患の初期サインであることがあります。これらの病気は、症状があっても軽い動悸や息切れ程度で済むこともあれば、突然重症化するケースもあるため注意が必要です。また、無症状でも心電図で異常が出ることがあり、放置すると気づかぬうちに進行するリスクもあります。そのため、要観察や要精査と記載された場合は、心臓超音波(心エコー)やホルター心電図(24時間心電図)などの精密検査を受けておくことが重要です。息切れや胸の痛み、めまいなどの症状がある場合は、心臓に負荷がかかっている可能性があるため、速やかに専門医を受診してください。

胸部レントゲンの異常

疑われる病気
肺結核 肺がん 心不全 胸部大動脈瘤 など
主な症状
無症状のことが多いが、咳、息切れ、胸の痛み、倦怠感などを伴うことも
どんな状態?
健康診断の胸部レントゲン検査では、肺や心臓、血管の異常を早期に発見することを目的としています。影や形の異常などが確認された場合、肺や心臓に何らかの病変がある可能性があるため、胸部CTなどの精密検査での確認が必要になります。
なぜ精密検査が必要?
レントゲンはあくまで「簡易なスクリーニング検査」です。病変があっても見逃されることもあれば、逆に問題がない影が異常として写ることもあります。そのため、異常が指摘された場合には、より精度の高い胸部CTや心臓超音波(心エコー)などで詳しく調べる必要があります。実際に、健康診断での異常をきっかけに発見される肺がんの多くは、自覚症状が出る前の早期がんであることが多く、早期治療により完治が期待できるケースも少なくありません。逆に、心不全や胸部大動脈瘤など、放置すると命に関わる病気が潜んでいる可能性もあるため、安易に放置せず、早めの精密検査が重要です。

貧血(血色素量/ヘモグロビン、ヘマトクリット)

疑われる病気
貧血(鉄欠乏性貧血など) 消化器疾患 悪性腫瘍 など
主な症状
めまい、息切れ、動悸、倦怠感、顔色が悪い
どんな状態?
血液中の赤血球やヘモグロビン(血色素)が少なく、体に十分な酸素が行き渡らない状態です。健診では、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値(血液中の赤血球の割合)が基準を下回ると、貧血の可能性を指摘されます。
なぜ精密検査が必要?
貧血の多くは鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」ですが、胃潰瘍や大腸がんなどの消化管からの出血、婦人科疾患、腎臓病などが原因となっている場合もあります。特に男性や閉経後の女性で貧血が指摘された場合は、隠れた出血性疾患の可能性を除外することが重要です。また、貧血の状態が続くと体が慢性的な酸素不足となり、心臓に負担がかかることで心不全を引き起こすリスクもあります。血液検査でヘモグロビンや赤血球数、ヘマトクリットを確認し、必要に応じて鉄代謝の検査や便潜血検査、内視鏡検査などの追加検査を行い、原因を特定します。健康診断で貧血を指摘された際は、症状の有無にかかわらず早めに医療機関を受診しましょう。

血糖値・HbA1c(ヘモグロビンA1c)

疑われる病気
糖尿病 糖尿病予備群
主な症状
ほとんどなし(喉の渇き、頻尿、体重減少など)
どんな状態?
血液中に含まれるブドウ糖(血糖)の量が基準よりも高い状態です。HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、過去1~2ヶ月の平均的な血糖の状態を反映する指標で、糖尿病やその予備群を診断する際に用いられます。
なぜ精密検査が必要?
血液中のブドウ糖の量を測定し、糖尿病のリスクを調べます。糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続くことで、全身の血管に大きな負担をかけます。これにより動脈硬化、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクが高まります。さらに細い血管(毛細血管)へのダメージも蓄積されるため、失明、足指の壊死、腎機能障害といった深刻な合併症につながることもあります。腎機能が大きく低下した場合には、透析が必要になる可能性も否定できません。糖尿病は初期にはほとんど症状が現れないことが多く、気づかないまま進行しているケースもあります。そのため、健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、放置せず早めに医療機関を受診することが大切です。

コレステロール・中性脂肪

疑われる病気
脂質異常症(高脂血症)
主な症状
ほとんどなし
どんな状態?
血液中のLDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪が多い、またはHDLコレステロール(善玉)が少ない状態を「脂質異常症」と呼びます。見た目や自覚症状では気づきにくく、健康診断で初めて指摘されるケースが多くあります。
なぜ精密検査が必要?
血液中の中性脂肪、善玉コレステロール(HDL)、悪玉コレステロール(LDL)の量を測定し、動脈硬化のリスクを判定します。HDLコレステロール(善玉)は血管を守る働きがあり、値が低いと動脈硬化のリスクが高まります。一方で、LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪の値が高すぎると、血管の内側に脂質がたまりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが上昇します。善玉と悪玉のバランスが崩れている場合には、食事や運動など生活習慣の見直しが必要です。数値によっては薬による治療が必要になることもあるため、異常を指摘された場合は早めの受診と検査をおすすめします。

尿酸値

疑われる病気
高尿酸血症
主な症状
ほとんどなし(痛風発作時は強い痛み)
どんな状態?
血液中の尿酸が基準より多くなっている状態を「高尿酸血症」といいます。多くの場合は無症状ですが、数値が高い状態が続くと痛風や尿路結石を引き起こすリスクが高まります。
なぜ精密検査が必要?
尿酸値が慢性的に高い状態は、心筋梗塞などの心血管疾患のリスク上昇にも関係していると考えられています。また、尿酸はプリン体という成分から体内で作られ、ビールなどの飲み物や、肉類・魚卵などの食品の摂りすぎによって増えることがあります。尿酸値が高めと指摘された場合は、食事の見直しやアルコールの調整、適度な運動による体重管理が大切です。生活習慣の改善によってコントロールが可能な場合もありますが、放置すると強い痛みを伴う痛風発作が起こることもあるため、早めの受診がおすすめです。

肝機能(AST、ALT、γ-GTPなど)

疑われる病気
肝機能障害
主な症状
ほとんどなし(倦怠感、食欲不振、黄疸など)
どんな状態?
肝臓に何らかの負担がかかり、肝細胞が傷ついている可能性がある状態です。健康診断では、AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTP・ALP・ビリルビンなどの数値によって、肝機能の状態が評価されます。
なぜ精密検査が必要?
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても初期にはほとんど症状が現れません。しかし、ウイルス性肝炎(B型・C型)、脂肪肝、アルコールの過剰摂取、薬の副作用など様々な原因で機能が低下し、放置すると肝硬変や肝がんへ進行する可能性があります。肝機能の数値が基準を超えている場合は、原因を明らかにするための検査(原因検索)が重要です。生活習慣によるものだけでなく、肝炎ウイルス感染が隠れていることもあるため、初めて異常を指摘された場合には医療機関での精密検査が推奨されます。

腎機能(クレアチニン、eGFRなど)

疑われる病気
慢性腎臓病 慢性腎不全
主な症状
ほとんどなし(むくみ、だるさなど)
どんな状態?
腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分を尿として排出する働きを担っています。クレアチニンや尿素窒素が高い場合、これらの老廃物が十分にろ過できておらず、腎臓の機能が低下している可能性があります。
なぜ精密検査が必要?
腎臓の機能が低下していても、自覚症状がほとんど現れないのが特徴です。しかしそのまま気づかず放置してしまうと、慢性腎臓病(CKD)が静かに進行し、最終的には腎不全に至る可能性があります。腎不全になると、生涯にわたって人工透析が必要となることもあります。一度失われた腎機能は元に戻すことが難しく、早期の対応が非常に重要です。また、クレアチニンやeGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓が老廃物をどれだけ効率よく排出できているかを示す数値です。これらの値に異常がある場合、まだ症状が出ていなくても腎機能が低下しているサインと考えられます。異常を指摘された場合は、原因を調べる検査や定期的な経過観察が必要です。早い段階で生活習慣を見直すことで、悪化を防ぐことができます。

尿検査(尿糖、尿蛋白、尿潜血など)

疑われる病気
糖尿病 腎臓病 尿路感染症 尿路結石 膀胱炎 尿路腫瘍 など
主な症状
ほとんどなし(頻尿、排尿時痛、血尿など)
どんな状態?
尿の中に糖、たんぱく質、血液などが含まれている状態です。これは腎臓や尿路の異常、あるいは糖尿病など全身疾患のサインである可能性があります。
なぜ精密検査が必要?
特に尿蛋白の持続は、腎臓病の進行を示す重要な所見です。早期発見と治療によって、腎機能の悪化を防ぐことが可能です。尿中にブドウ糖、タンパク、血液が含まれていないかを調べ、正常値を超えている場合は、尿路感染症、尿路結石、腎機能障害、腎炎、糖尿病、尿路腫瘍などの病気が疑われます。強い痛みや排尿異常などの症状がある場合には、速やかに医療機関で精密検査を受けることが大切です。なお、健康診断で異常が指摘されても、食事内容や水分摂取の影響によって一時的に数値が変動することもあり、精密検査によって異常が見られないケースもあります。いずれにしても、まずは医師の判断を仰ぐことが重要です。

肥満度(BMI)

疑われる病気
肥満症 メタボリックシンドローム
主な症状
ほとんどなし(いびき、関節痛、倦怠感など)
どんな状態?
身長と体重から算出される肥満度を示す数値(BMI 25以上が肥満とされます)です。特に、内臓脂肪の蓄積が多い「内臓脂肪型肥満」は、生活習慣病のリスクが特に高くなるため注意が必要です。
なぜ精密検査が必要?
肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症といった生活習慣病の発症リスクを大幅に高めます。これらの病気が複数重なると「メタボリックシンドローム」と診断され、動脈硬化が急速に進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが非常に高まります。メタボリックシンドロームの判定は、腹囲・血糖・血圧・脂質の4項目をもとに、基準該当/予備軍該当/非該当/判定不能に分類されます。「基準該当」「予備軍該当」に当てはまった方は、生活習慣の見直しや体重管理を通じて、治療や生活習慣の改善に取り組み、病気の予防に繋げましょう。症状がなくても、病気の発症リスク評価や内臓脂肪の状態を把握するため、一度詳しい検査を受けることをおすすめします。
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