MEDICAL COLUMN

医療コラム

2025.11.13

心不全とは?症状や原因、検査・治療、心臓リハビリ

こんにちは。札幌市中央区の循環器内科「南円山みんなの内科ハートクリニック」院長の小浪佑太です。

「心不全」と聞くと、心臓が止まってしまうような重い病気を連想される方も多いかもしれません。しかし心不全とは特定の病名ではなく、心臓の働きが弱まり全身に十分な血液を送れなくなった状態を指します。生活習慣病や心臓病を背景に徐々に進行することが多く、早期発見と適切な管理が重要です。

この記事では、心不全の基本から症状・原因・検査・治療、そして当院で行っている心臓リハビリテーションまでを循環器専門医がわかりやすく解説します。最後までお読みいただくことで、ご自身やご家族の心臓の健康を考えるきっかけになれば幸いです。

心不全とは

心不全とは、心臓の機能が低下することによって息切れやむくみなどの症状が現れ、徐々に進行して生命に影響を及ぼす可能性がある「症候群」です。特定の病名ではなく、心臓の構造的または機能的な異常により、全身へ血液を送り出す力(心拍出量)が不足したり、心臓内の圧力が上昇することでうっ血(血液や水分が滞留すること)が生じる状態を指します。

心不全の症状は大きく二つに分けられます。一つは「うっ血」による症状で、肺や全身に水分がたまることにより、軽い運動や階段の上り下りで息切れする、夜間の呼吸困難、両脚のむくみなどがみられます。体重が1週間で2〜3kg増加する場合は、体内に水分が溜まっているサインとして注意が必要です。もう一つは、心臓が十分に血液を送り出せないことによる「血液供給不足」の症状で、倦怠感や疲れやすさ、集中力の低下などが挙げられます。特に、安静時の息苦しさや夜間に息苦しくて起き上がる「夜間呼吸困難」は、病状が進行しているサインであり、早期の受診が大切です。

心不全は、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、高血圧症など、さまざまな心臓疾患が原因で発症します。一度発症すると再発を繰り返しながら心臓の機能が徐々に低下していく進行性の病態であり、適切な治療と日常の管理によって進行を遅らせることが重要とされています。

見逃されやすい「息切れ」や「むくみ」

心不全の代表的な症状は「息切れ」や「むくみ」、そして「体のだるさ(疲れやすさ)」です。心不全の初期症状では、坂道や階段を上ったときに息切れを感じる程度ですが、進行すると横になっていても息苦しくなり、足のむくみや体重の増加、お腹の張り、食欲の低下などが見られるようになります。年齢や運動不足のせいと見過ごされやすいため、注意が必要です。

心不全の重症度を表す「NYHA分類」

心不全の症状の重さを判断する際には、世界的に使われている「NYHA(ニューヨーク心臓協会)分類」があります。どの程度の活動で息切れなどの症状が出るかによって、4つの段階に分けられます。

分類 症状と身体活動の制限
I度 心疾患があるが、身体活動に制限なし。通常の労作で症状なし
II度 心疾患があり、身体活動が軽度に制限される。通常の労作で症状あり
III度 心疾患があり、身体活動が著しく制限される。通常以下の労作で症状あり
IV度 心疾患があり、すべての身体活動で症状が出現。安静時にも症状あり

心不全を引き起こす主な原因

  • 冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
  • 高血圧(長期の負荷による心肥大・線維化)
  • 心筋症(肥大型・拡張型・拘束型など)
  • 弁膜症(狭窄・閉鎖不全による血流障害)
  • 不整脈(頻脈性心筋症など)
  • 先天性心疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群(高血圧や心疾患と関連)

▶ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)に心当たりがある方はこちら

心不全の診断と検査

血液検査(NT-proBNP)

心不全が進行すると、心臓の伸展刺激によりNT-proBNPというホルモンが心室から合成・分泌されます。NT-proBNPの値を測定することで、心不全の診断や除外、重症度評価、および予後評価に役立てます。数値が高いほど心不全の可能性が高く、心不全のスクリーニングとしても重要です。当院では、NT-proBNPを含む血液検査を実施しています。

心臓超音波検査(心エコー)

心臓に構造的あるいは機能的な異常がないかを評価するために、心エコー検査は必須の検査です。この検査では、心臓の動きや大きさ、弁の状態、血流などをリアルタイムで確認できます。心不全の原因となる弁膜症や心筋症などの診断に有効であり、心不全患者では全例で左室駆出率(LVEF)の評価を行うことが推奨されています。

心電図検査(安静時・ホルター心電図)

心不全の診断においては、心電図や胸部X線、血液検査などを総合的に行います。心電図検査では、心不全に合併しやすい不整脈(特に心房細動)や、心筋のダメージ、心室肥大の所見などを確認します。当院では、診察時点での異常を確認する安静時心電図に加え、日常生活中に起こる不整脈や心臓の状態を詳細に評価するために、24時間または1〜2週間にわたるホルター心電図(イベントレコーダー機能付き)も実施しています。心不全は不整脈を合併することが多く、心房細動は重篤な脳梗塞や心不全を起こす危険があるため、心電図による評価は非常に重要です。

心不全の治療と管理|心臓リハビリテーションにも対応

心不全の治療は、薬物療法に加えて、生活習慣の改善・栄養管理・運動療法(心臓リハビリテーション)を組み合わせた包括的なアプローチが基本です。当院では、医師・看護師・理学療養士・管理栄養士が連携し、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てています。

また、当院には心臓リハビリテーション室を併設しており、心不全をはじめとする心疾患の患者様に対して、安全で効果的な運動療法を行っています。理学療法士による個別指導のもと、体力の回復・息切れの軽減・再入院の予防を目的としたリハビリを実施しています。

生活習慣指導

  • 減塩(食塩6g/日未満が目安)
  • 適正体重の維持(肥満・フレイルの予防)
  • 禁煙・節酒の徹底

管理栄養士による栄養指導

心不全の方には、塩分制限や栄養バランスを考慮した食事療法が重要です。当院では管理栄養士が日常の食事内容を確認し、具体的で実践しやすい食事指導を行っています。

心臓リハビリテーション

心不全患者の体力回復・再入院予防・生活の質(QOL)向上に効果的とされる運動療法です。当院の心臓リハビリ室では、専門スタッフが安全な環境で個別に運動処方を行っています。

▶ 詳しくはこちら(心臓リハビリテーションのページへ)

薬物療法

HFrEF(駆出率低下型心不全)では、β遮断薬、ACE阻害薬、ARB、MRA、SGLT2阻害薬、ARNIなどを組み合わせて使用します。HFpEF(駆出率保持型心不全)にもSGLT2阻害薬が有効とされています。病態や併存疾患に応じた最適な薬を継続することが大切です。

日常生活とセルフケア

心不全の管理では、ご本人とご家族が協力して症状を観察し、体重やむくみ、息切れなどの変化に早く気づくことが大切です。体調に異変を感じた際は、自己判断せず早めに受診してください。

当院の診療体制

当院では、心不全の診断・治療に必要な心エコー検査、心電図、血液検査(NT-proBNPを含む)を迅速に行い、心不全の状態を総合的に評価します。循環器専門医が最新ガイドラインに基づき、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせた包括的治療を提供しています。

併設の心臓リハビリ室では、理学療法士を中心とした専門チームが、体力・症状・生活習慣に合わせた運動プログラムを行い、再発予防と生活の質向上をサポートします。

当院へのアクセス

南円山みんなの内科ハートクリニックは、札幌市中央区に位置し、公共交通機関でもお車でも通いやすいアクセス環境です。

公共交通機関をご利用の方

北海道中央バス「旭山公園通18丁目」バス停すぐ

札幌市電「西線9条旭山公園通」駅より徒歩約5分

札幌市営地下鉄 東西線「西18丁目」駅より徒歩約14分

札幌市営地下鉄 東西線「円山公園」駅より徒歩約20分

お車でお越しの方

クリニック専用駐車場(18台分)をご用意しています。札幌市中央区だけでなく、豊平区・西区・南区など札幌市全域から多くの患者さまにご来院いただいています。

札幌市で心不全が気になる方へ

心不全は「少し息切れするだけだから大丈夫」と思っているうちに進行してしまうことがあります。息切れやむくみ、疲れやすさなどの症状は、心臓からのサインかもしれません。健診で異常を指摘された方、ご家族に心疾患のある方、最近体調の変化を感じる方は、ぜひ早めにご相談ください。

南円山みんなの内科ハートクリニックは、札幌市中央区南円山にあり、公共交通機関でもお車でも通いやすい環境です。専用駐車場を18台分ご用意しており、お車での通院にも便利です。

気になる症状や体調の変化がございましたら、どうぞお一人で悩まずに当院へお気軽にご相談ください。皆さまの心臓と血管の健康を、循環器専門医である私たちがしっかりとサポートいたします。

南円山みんなの内科ハートクリニック 院長 小浪 佑太

資格

認定内科医
総合内科専門医
循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
ACLS-EP; Advanced Cardiovascular Life Support for Experienced Provider

所属学会

日本内科学会
日本循環器学会
日本心血管インターベンション治療学会
日本心臓リハビリテーション学会

詳しくはこちら