MEDICAL COLUMN
医療コラム


足のむくみや腫れはもしかして心臓のサイン?
こんにちは。南円山みんなの内科ハートクリニック院長の小浪佑太です。
「最近、夕方になると足がパンパンになる」「靴下の跡がなかなか消えない」――そんな足のむくみにお悩みではありませんか?年齢のせいと見過ごされがちですが、体のどこかに異変が起きているサインの可能性もあります。今回は、足のむくみ(浮腫)について、原因・受診の目安・検査・治療まで、循環器専門医の立場でご説明します。
足のむくみ(浮腫)とは?気になる症状と見分け方
足のむくみは日常でもよく見られ、夕方の靴のきつさや靴下跡、だるさなどとして自覚されます。一過性なら生活の工夫で軽快しますが、慢性的に続く、悪化を繰り返す、あるいは片足だけ強い場合は、心不全や心臓弁膜症、深部静脈血栓症(DVT)など循環器の病気が隠れていることがあります。むくみは体内の水分バランスや血液・リンパの流れの乱れで起こるため、原因の見極めが大切です。気になる症状が続くときは、循環器内科での評価(採血・心電図・心エコーなど)を含めて当院へご相談ください。
医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼びます
医学的に「むくみ」は「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、血管の外の細胞と細胞の間に、水分が異常に溜まってしまった状態を指します。私たちの体は約60%が水分でできており、血液やリンパ液として体内を巡っています。しかし、様々な原因でこの水分のバランスが崩れると、特に重力の影響を受けやすい足に水分が溜まりやすくなり、むくみとして現れるのです。
足のむくみ、こんな症状に注意しましょう
足のむくみは、日によって、あるいは片足だけ、両足にと様々に現れます。ご自身のむくみがどのような状態か、チェックしてみましょう。
夕方になるとむくむ、靴下の跡が残る
日常的によく見られるむくみで、長時間同じ姿勢での仕事や運動不足などが原因で起こりやすいです。しかし、これが頻繁に起こり、なかなか改善しない場合は注意が必要です。
指で押すと跡が残る
むくんでいる部分を指で数秒間押してみて、指を離してもくぼみがすぐに戻らない場合は、水分がかなり溜まっている証拠です。
両足がむくむ
両足に同時にむくみが見られる場合、心臓、腎臓、肝臓など、全身の臓器の機能が関係している可能性があります。特に、心不全などの循環器疾患が原因で起こることが少なくありません。
片足だけむくむ
片足だけに急にむくみが生じ、痛みや熱感を伴う場合は、深部静脈血栓症(DVT)可能性などがあります。肺塞栓を発症している場合には早急な治療が必要となる場合があります。この場合は、一刻も早い受診が必要です。
その他の症状を伴う
むくみと同時に、息切れ、動悸、胸の痛み、だるさ、体重増加、尿量の減少などが見られる場合は、より重篤な病気が原因である可能性が高まります。
足のむくみの背景に潜む、見逃せない循環器疾患
足のむくみは、様々な病気のサインとなり得ますが、特に注意が必要なのが心臓に関わる病気です。
心不全によるむくみ(特に注意が必要なサイン)
心不全は、心臓のポンプ機能が弱まり、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。心臓が血液をうまく送り出せなくなると、血液がうっ滞し、特に重力で下がる足に水分が溜まりやすくなります。これが、心不全によるむくみ(下肢浮腫)です。
心不全のむくみは、両足に現れることが多く、同時に息切れやだるさ、夜間の呼吸苦などを伴うことがあります。進行すると、腎機能や栄養状態の悪化にもつながることが報告されています。
心臓弁膜症によるむくみ
心臓には4つの弁があり、血液が逆流しないよう、その流れを一定方向に保つ役割をしています。この弁の動きが悪くなる病気を心臓弁膜症と呼びます。弁膜症により血液の流れが滞ると、心臓に負担がかかり、結果として心不全の原因となり、体に水分が溜まりやすくなって足のむくみとして現れることがあります。心臓弁膜症の診断には心エコー検査が非常に重要です。
深部静脈血栓症(DVT)によるむくみ
足のむくみが片足だけに急に現れ、痛みや発熱、皮膚の色の変化などを伴う場合は、深部静脈血栓症(DVT)の可能性があります。深部静脈血栓症(DVT)は、足の深部の静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。
この血栓が肺に飛んでしまうと、肺血栓塞栓症(肺塞栓症)という命に関わる重篤な病気を引き起こす可能性があります。特に、手術後や長期臥床、がんの患者様、妊娠中の方などはリスクが高いとされています。深部静脈血栓症(DVT)の治療や予防には抗凝固薬や弾性ストッキングの使用が推奨されています。
循環器疾患以外の足のむくみの原因
足のむくみは、心臓の病気以外にも様々な原因で起こることがあります。
腎臓や肝臓の病気
腎臓病
腎臓は体内の水分や塩分、老廃物の排出を調整する重要な臓器です。腎臓の機能が低下すると、余分な水分や塩分が体に溜まりやすくなり、全身、特に足のむくみとして現れます。
肝臓病
肝臓は血液中のタンパク質(アルブミンなど)を作る役割を担っています。肝機能が低下すると、このタンパク質の生成が減少し、血液中の水分を血管内に保持する力が弱まり、むくみが生じやすくなります。
服用中の薬の副作用
一部の薬、例えば高血圧の治療薬(カルシウム拮抗薬など)、消炎鎮痛剤、ステロイド薬なども、副作用として足のむくみを引き起こすことがあります。新しい薬を飲み始めてからむくみが気になり始めた場合は、担当の医師や薬剤師にご相談ください。
その他の原因
長時間の立ち仕事や座り仕事、運動不足、冷え性、妊娠なども、生理的なむくみの原因となることがあります。これらは病気ではない場合が多いですが、普段と違うむくみを感じたら、一度専門医に相談することをお勧めします。
こんな足のむくみはすぐ受診を!受診の目安
「最近足がむくむけど、年齢のせいだろうか」「心臓の病気が隠れているかも」と不安に思われている方は、以下の症状に当てはまる場合、できるだけ早く医療機関を受診してください。
- むくみが何日も続く、または悪化している
- 片足だけがむくみ、痛みや発熱、皮膚の赤みなどを伴う
- むくみとともに、息切れ、動悸、胸の痛み、だるさ、疲れやすさを感じる
- 急な体重増加を伴う
- 尿の量が減ったと感じる
- 夜、横になると息苦しくなる
当院は札幌市中央区南円山に位置しており、西18丁目駅、円山公園駅からアクセスしやすい立地です。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
足のむくみの原因を特定する診断方法
足のむくみの原因を正確に診断するためには、様々な検査が必要となります。当院では、循環器専門医として以下のような検査を通じて、患者様一人ひとりに最適な診断と治療を提供します。
問診・診察
まずは患者様の症状、むくみの状態(いつから、片足か両足か、時間帯、他に気になる症状など)、既往歴、服用中の薬などについて詳しくお伺いします。その後、足のむくみの状態を直接確認し、心臓の音や呼吸音、血圧などを丁寧に診察します。
血液検査
血液検査では、心臓、腎臓、肝臓の機能を示す数値や、炎症の有無などを調べます。特に、心臓に負担がかかると上昇するNTproBNPは、心不全の診断や重症度を評価する上で重要な採血項目です。また、深部静脈血栓症が疑われる場合は、D-ダイマーという項目を測定し、血栓の有無を評価します。
心電図検査
心電図検査は、心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や心臓への負担のサインがないかを確認する基本的な検査です。
心エコー検査
心エコー検査は、超音波を使って心臓の動き、弁の状態、心臓の大きさやポンプ機能(左室駆出率:LVEF)などをリアルタイムで詳しく観察できる、非常に重要な検査です。心不全や心臓弁膜症など、むくみの原因となる心臓の異常を正確に診断するために不可欠です。
ABI検査(足の血管の詰まりの評価)
ABI(Ankle-Brachial Index:足関節上腕血圧比)検査は、腕と足首の血圧を同時に測定することで、足の動脈の詰まり具合を調べる検査です。これは足のむくみの直接的な原因を探る検査ではありませんが、全身の動脈硬化の進行度を評価し、心血管疾患のリスクを把握する上で役立ちます。
足のむくみの治療と日常生活での改善策
足のむくみの治療は、その原因によって大きく異なります。当院では、診断結果に基づき、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療プランをご提案します。
原因に合わせた薬物療法
利尿薬
心不全などにより体内の水分が過剰に溜まっている場合は、余分な水分を尿として排出する利尿薬を使用することがあります。
心不全治療薬
心不全が原因であれば、心臓の機能を改善する薬など、様々な心不全治療薬を組み合わせることがあります。
抗凝固薬
深部静脈血栓症と診断された場合は、血栓が大きくなるのを防ぎ、肺塞栓症を予防するために抗凝固薬を使用します。
弾性ストッキングの活用
慢性的な静脈うっ滞によるむくみに対しては、足に適度な圧力をかける弾性ストッキングの着用が有効です。血流を改善し、むくみの軽減を助けます。
生活習慣の改善でむくみを軽減
薬物療法や弾性ストッキングと合わせて、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。
塩分摂取量の制限
塩分を摂りすぎると、体内に水分が溜まりやすくなります。1日6g未満を目安に、減塩を心がけましょう。
適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動は、血流を促進し、むくみの改善に役立ちます。当院では、心臓リハビリテーションを通じて、専門的な運動指導も行っています。
体重管理
適正体重を維持することは、心臓への負担を減らし、むくみの改善につながります。BMI25未満を目安にしましょう。
禁煙
喫煙は動脈硬化を促進し、心血管疾患のリスクを高めます。禁煙はむくみだけでなく、全身の健康にとって非常に重要です。
足を高くして休む
寝る時や休憩中に、クッションなどで足を心臓より高くすることで、むくみの軽減に効果があります。
足のむくみを放置するリスク
「たかがむくみ」と放置してしまうと、思わぬ病気の進行を見過ごしてしまう可能性があります。心不全が悪化すれば日常生活に大きな支障をきたし、重症化すれば命に関わることもあります。また、深部静脈血栓症を放置すれば、肺血栓塞栓症に移行し、突然死の原因となることもあります。
むくみは、あなたの体が発している大切なサインです。早期に原因を特定し、適切な治療と生活習慣の改善を行うことで、病気の進行を防ぎ、快適な日常生活を取り戻し、生活の質(QOL)を維持することが可能です。
当院へのアクセス|札幌市中央区の内科・循環器内科
南円山みんなの内科ハートクリニックは、札幌市中央区に位置し、公共交通機関でもお車でも通いやすいアクセス環境です。
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クリニック専用駐車場(18台分)をご用意しています。円山エリアだけでなく、豊平区・西区・南区など札幌市全域から多くの患者さまにご来院いただいています。
少しでも足に違和感があればご相談を
足のむくみは、単なる体のサインにとどまらず、心臓や他の重要な臓器に隠れた病気の兆候である可能性があります。特に、むくみが続く、片足だけむくむ、息切れや動悸を伴う場合は、早期の受診が非常に重要です。
南円山みんなの内科ハートクリニックは、札幌市中央区南円山にあり、公共交通機関でもお車でも通いやすい環境です。専用駐車場を18台分ご用意しており、お車での通院にも便利です。
足のむくみや腫れなど、気になる症状がございましたら、どうぞお一人で悩まず、お気軽にご相談ください。皆様の心臓の健康を、私たち専門医がしっかりとサポートさせていただきます。
南円山みんなの内科ハートクリニック 院長 小浪 佑太
資格
認定内科医
総合内科専門医
循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医
ACLS-EP; Advanced Cardiovascular Life Support for Experienced Provider
所属学会
日本内科学会
日本循環器学会
日本心血管インターベンション治療学会
日本心臓リハビリテーション学会